【読書のメモ】運転者

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基本情報

【作品名】 運転者
【著者】 喜多川泰
【初版発行】 2019年 
【ジャンル】 小説

あらすじ

中年にして歩合制の保険営業に転職し、三年目の修一。
しかし、なかなか思うように成果が上がらない日々を過ごしていた。

ある日、唐突な担当顧客の大量解約を受け、
いよいよ金銭的にも精神的にも窮地に追いやられてしまう。

妻が楽しみにしていた海外旅行計画はキャンセルするしかない。 
娘は不登校に陥っているうえに、今後の学費の工面も難しくなるだろう。
さらに長い間帰れていない実家で一人暮らしをしている、母からの電話が心にのしかかる。

「……なんで俺ばっかりこんな目に合うんだよ」

思わず独り言を言ったそのとき、
ふと目の前に、タクシーが近づいてくるのに修一は気がつく。

それは乗客の「運」を「転」ずるという摩訶不思議なタクシーで――?

運転者 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)

感想

以前別のブックアプリでおすすめに入っていたのをKindle Unlimitedで見つけたのでダウンロード。
中年サラリーマンが不思議なタクシーに出会う現代ファンタジーの小説。ディスカヴァー・トゥエンティワン社の出版らしい、さわやかでポジティブな結末を迎えている。

テーマは運と人生について。
運は【良い・悪い】ではなく、【貯める・使う】で表現するという考え方をベースに物語が展開していく。
主人公の修一は愚痴ばかりであるが、抱えているのは現代人によくある不満。自分自身も少なからず似たようなことを思ったことがあるし、こういう人にも会ったことあるな、という感じの普通のサラリーマンである。

この物語には運転者という人知を超えた心強い助っ人が現れるため、修一は失敗しながらも短期間で着々と自分自身を変えていく。うまく行き過ぎなのはこのアドバイザーあってのことであるとはいえ、その過程で交わされる会話や気づきは読者にとってもすぐに活かせるものばかりである。素直に納得し、そのような心掛けで生きようと思わされる部分も多かった。

ところで、現代寓話小説、自己啓発小説とでもいうべきこのような内容の本(読者に特定の気づき・一定の教訓等を与える目的がある本)にはジャンルがあるのかな。こういう本は特に元気がなかったり疲れている時に静かに読むとじんわりと効きます。

著者の喜多川泰氏は、このような作風の書籍を他にもたくさん出版されているもよう。文体も優しく読みやすかった。
またこういう【世にも奇妙な”良い”物語】を読みたくなったら読んでみる予定。




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